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羊肉を燗酒と自然派ワインで楽しむ酒場「29ロティ」|羊が旨い店⑧

羊肉を燗酒と自然派ワインで楽しむ酒場「29ロティ」|羊が旨い店⑧

大塚にある「29ロティ」では羊のねっとりとした脂と燗酒の抜群の相性を楽しめます。お好きなみなさんならご存じのように、羊はクサいとか、カタいとか、そんなのは昔の話。今や幅広いジャンルで、香り高く軽やかで、素晴らしくおいしい羊料理が食べられます。そんな羊がおいしい店をご紹介します!

燗酒で美しく切れる羊の脂

店名が表す通り、29(ニク)を味わうための店である。しかも、牛、鶏、豚、鳩、鴨、そして生ハム各種とその守備範囲は広いが、肉レストランではなく、ここは酒も楽しめる場所。タンドールや生ハムのスライサーもあり「レストランで食べるような肉料理を出せる居酒屋」であるところが、この店ならではの得難い個性だ。

生ハム3種盛り
サルメリア69譲りの生ハム3種盛り1,800円。

居酒屋であるから、肉との相性も考慮された、たくましい味わいの日本酒が季節ごとに30銘柄ほど。ヴァンナチュールを中心に選ばれた赤白のワインも同じく約30銘柄が揃う。

酒
ワインはジェラール・シュレールなどナチュラルな造りのものが中心。日本酒は旭若松 純米無濾過生原酒など、しっかりした味わいが中心。

羊のヒレ、ロース、もも、タン。さまざまな部位にスパイス各種を効かせて、あるいはあっさり岩塩で。適材適所にその味わいが生かされる羊肉は、主にオーストラリア産。各地の肉を食べ歩きながら、“肉歴”を重ねてきた店主・江澤雅俊さんの「穀物で育てているため、肉の味が濃いんです。日本人には、なじみが良いのでは」という判断からだ。

料理
奥から、羊のカルパッチョ遊牧民風1,380円、羊肉の舌焼き1,200円、羊のソーセージ東北仕立て1,500円。
ヒレのレアステーキ
ヒレのレアステーキ2,000円。

大塚の銘酒居酒屋「串駒」での修業経験も持つ江澤さんは、肉だけでなく日本酒の知識も深い。羊料理を前に、ここは当然赤、となりそうな場面で、生酛純米酒のお燗を出してもらえる楽しさ。右手にワイングラス、左手に盃。そんな両手飲みも可能な店である。

店内
2012年5月開店。生ビール480円、日本酒グラス(120mL)480円~、グラスワイン800円~、ボトルワイン5,000円~。サービス料10%。予約が確実。

店舗情報店舗情報

29ロティ
  • 【住所】東京都豊島区南大塚1‐23‐8 はらだ荘101
  • 【電話番号】03‐6902‐1294
  • 【営業時間】18:00~23:00(L.O.)
  • 【定休日】火曜
  • 【アクセス】JR「大塚駅」より8分

文:藤田千恵子 写真:木村心保

※この記事の内容はdancyu2018年6月号に掲載したものです。

藤田 千恵子

藤田 千恵子 (ライター)

ふじた・ちえこ 群馬県生まれ。日本酒、発酵食品・調味料、着物の世界を取材執筆するライター。dancyu日本酒特集にも寄稿多数。1980年代中盤に日本酒の業界紙でアルバイトしていたことがきっかけで神亀酒造・小川原良征氏と出会い、以後三十余年の親交を続ける。小川原氏の最晩年には、氏からの依頼で病床に通い、純米酒造りへの思い、提言を聞き取り記録した。