おいしい本
本がスタンプラリーに! ~『神林先生の浅草案内(未完)』好評発売中!~

本がスタンプラリーに! ~『神林先生の浅草案内(未完)』好評発売中!~

2021年11月に発刊した『神林先生の浅草案内(未完)』を片手に、浅草観音裏を中心とした掲載店をめぐる動きが自然発生していると言います。果たして、どんな動きなのでしょうか?

本を片手に掲載店をめぐる動きが自然発生。

「“神林本”を片手に来店されて、ここにサインを下さいとおっしゃるお客様が結構いらっしゃるんです。私もお世話になった神林先生が綴ったお店を周りたいし、それならば、店主の方々のサインも欲しくなってしまって」
そう話すのは、浅草観音裏で「食堂うんすけ」を営む、嶋田智子さん。
『神林先生の浅草案内(未完)』では、152ページに「ママの人柄は、拍子抜けするほど肩の力が抜けている自由人。」と紹介されています。

「食堂うんすけ」を営む嶋田智子さん
「食堂うんすけ」を営む嶋田智子さん。民藝の器で手製のカレーや“おばあちゃん惣菜”を提供。

ほかの掲載店の女将やマスターからも、「お客様に本にサインしてと言われちゃって」「サインは気後れするので、千社札を貼って差し上げました」といった声が聞こえてきます。

本を買って下さった方が、本に登場するお店を訪ねては、店主にサインやスタンプを求める動きが自然発生的に起きているというのです。
まるで、御朱印、あるいはスタンプラリーのようです。

嶋田智子さん
「サインを書いたり、スタンプを押したり。常連のお客様が持ってこられることもありますし、初来店の方もいらっしゃいます」

それならばと、嶋田さんをはじめ、掲載店の有志が声を掛け合い、「お店で飲食をされたお客様が本にサインやスタンプを求めて来られたら、快く対応しよう」という了承を掲載店全店に告知。店主の方々の同意を得ました。

ポルトガル食房 ジーロ
浅草観音裏のポルトガル料理店「ポルトガル食房 ジーロ」では、店頭で本も発売中!お食事の後に1冊どうぞ。テイクアウト販売もあり。
「ムグンファ」のママ
参鶏湯ならぬ“半鶏湯”とキムチチゲが名物の韓国料理店「ムグンファ」のママは、ハングルでサインしてくれました。

さらには、『神林先生の浅草案内(未完)』の世界と浅草という街をいっそう楽しんでもらうべく、こんな試みも。
以下がその概要です。

書籍『神林先生の浅草案内(未完)』を持って掲載店舗で飲食後、掲載店舗のページにスタンプ(またはサイン)をもらいます。
2月末日までに掲載店全37店のうち、昨年秋に閉店された「芳野屋」と、現在休業中の「吉原もん」、「ムグンファ」(2月末まで改装工事中)を除く全34店のスタンプ、もしくはサインをゲットされた方にはプレゼントを用意。
制覇された方は、該当ページの画像をメールに添付して、
①氏名
②住所
③電話番号
を明記の上、メールtomos526@gmail.comまで送信。3月7日(月)〆切。
下記店舗へ直接持って行ってもOK。
「食堂うんすけ」(台東区浅草4‐17‐3/電話:050‐5262‐2274 ※電話連絡のうえご来店ください。佐渡に移転予定のため、浅草店舗は2月末で閉店)
※事前予約が必要なお店や、臨時休業されるお店などもありますのでご注意を。

全店制覇できるかはさておき、手書きのサインやメッセージを書いてもらったり、スタンプを押してもらったりすると、訪ねたお店にも本にもさらに愛着が増すというもの。
街と人と本がつながる、うれしい現象です。

神林先生の浅草案内(未完)
神林先生の浅草案内(未完)
都立浅草高等学校、国語教師が愛した店と人――。
教員生活43年。食べ歩き、飲み歩き歴46年。生徒からの呼び名は「かんちゃん」。神林桂一さんは、一元的な情報に頼らず、自転車でランチに繰り出しては新店開業の気配に敏感に反応し、酒場の店主や客との会話から生きたネタを仕入れ、実際に訪ねて、食べて、飲むことで、情報を蓄積していきました。

職場の若い先生や同僚たちに、浅草の深き食文化を知ってもらうべく、愛機のワープロ「文豪」のキーボードを叩き、わら半紙に刷り出した『ミニコミ』を発行。「ランキング」と謳ってはいるものの、載っているのは偏愛店ばかり。どの店も違って、どの店もいい。
この本は、37号にわたって発行した『ミニコミ』より「浅草ランチ・ベスト100」「ひとり飲みの店ランキング」を元に、神林先生が足繁く通った店を紹介しています。

これからますます意欲的に飲んで、食べて、さらには情報発信を、と意気込んでいた矢先、神林先生は突然、この世を去りました。『神林先生の浅草案内(未完)』は、更新されることのない途中経過の記録であり、店へのラブレターであり、浅草の食文化が垣間見られる教科書の一遍であり、観光客の知らない浅草を知る案内でもあります。
神林先生の愛した浅草に足を運んでもらえたら幸いです。

B5判(200頁)
ISBN:9784833451888
2021年11月15日発売 / 1,540円(税込)

撮影:大沼ショージ、萬田康文(カワウソ)

神林桂一

神林 桂一

1954年5月26日生まれ。東京都出身。教員生活43年。食べ歩き、飲み歩き歴46年。
都立一橋高校時代から食のランキング・ミニコミを刊行(おもに職場で配布)。下町エリアを中心に酒場、定食屋、バー、和・洋・中・エスニック料理店、その他と守備範囲は広範囲に及ぶ。なかでも“お母さん酒場"には並々ならぬ情熱を持つ。
食にまつわる書籍、雑誌、テレビ番組、ランキングサイトなど、リサーチにも余念がなく、自作のデータベースには行った店・約9200軒を含む1万5000軒の食の店や食の情報が整理されている。2020年8月24日逝去。

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